小さい頃から男子とよく遊んでいた浅尾さんはそのことで女子から変にハブられてしまい女子の友達ができず、その後も友達の作り方がわからないまま男女ともに友達0の高校生活を送っていました。そんな彼女にある日倉田くんが話しかけます。というお話。不器用な女の子って、いいよね。僕はこれを「友達がいない自分が救われる」と「不器用で孤独な女の子を助ける」と2つの視点で楽しみました。だってどちらも感じ入ってしまうんですもの。僕が浅尾さんなら倉田くん達の存在は涙が出るほど嬉しいだろうし僕が倉田くんなら浅尾さんみたいな女の子は放っておけない。どちらの側からしてもお互いの存在が気になってしまう関係。でも「救われる/助ける」なんて言葉を使いましたけど描写に傲慢さはなく、ただ自然と仲良くなっていく浅尾さんと倉田くん、そして東と犬、4人の姿がとても心地良かったです。間の取り方も好み。


「理由は上手く言えないけど、私男子も女子も苦手なの」
「だから友達がいないのね、だめね」


 あーもう可愛いなバカ野郎! 最早男子も女子も共に接し方がわからなくなってしまっている浅尾さん。でも倉田くんは言います。


「一人で全部持つのは重いでしょ」
「俺も一緒に持ってあげる」


 見た目も心もイケメンってずるい。こうやって倉田くんは浅尾さんをどんどんと解きほぐしていきます。僕はこのまま4人だけで楽しくやっていてもいいと思ってますけど、女の子の友達も欲しい浅尾さんの世界は広がっていくのでしょう。倉田くん達以外とでも上手くやっていけるようになるときは寂しさも覚えるかも知れません。けれど一人前に育てた娘の結婚式に出るような、ペッシの栄光を見守ろうとするプロシュート兄貴のような、そんな気持ちで見送ってあげたい。そう思います。